プログラム

モーツアルト 協奏交響曲 変ホ長調 K.297B(ロバート・レヴィン再構成版)
ブラームス 交響曲第1番 ハ短調
アンコール;ブラームス ハンガリアン舞曲第5番

モーツアルトの協奏交響曲は、プログラムの解説によるとオリジナルが消失して90年後にモーツアルトの伝記作家の遺品から発見されたが、オリジナルの内容とは編成も違っていることから偽作としてケッヘルも扱ったという曰くつきの作品。それを、編成や構成、オーケストレーションまで再構成して演奏というのだから、まるっきりモーツアルトとは違う作品になっていることになり、聴いていてもピンとこなかった。ホルン・フルート・オーボエファゴットの独奏者のテクニックはすばらしかったが、曲自体にモーツアルトを感じられないせいかあまり面白く聴くことができなかった。
第2曲のブラームスは感動であった。今日はブラームス交響曲1番をビオラ弾きになったつもりで楽しんだ。というのも今日の席はステージ5列目の右よりであり、ビオラとチェロの音が自然大きく聴こえたからである。ビオラはいいメロディを弾いていた。特に2楽章。おいしいとこどりの2楽章である。自分はブラームスの1番を聴いているとき、ヴァイオリンと金管にウェイトを置いて聴いていていたことがよくわかった。「おお、この主題をビオラがこう弾いて支えていたんだ・・」「うむ、ここでピチカートしていたのか・・・」様々な発見があった。指揮者ユーベル・スダーンのブラームスは時に堂々とゆっくり目のテンポで、時に激しく畳み込むようにと強弱、緩急のコントラストを明確に出しながら、弦をよく歌わせブラームスの音の重なりをしっかり表出していた。
コーダの荘厳な終わり方は観客を唸らせた。拍手は鳴り止まず、みんな満足できた演奏であったことが確認できた。
ブラームスの新たな楽しみ方を発見できた、すばらしい演奏会であった。