プログラム

クラリネット/佐藤路世(都響首席クラリネット奏者)
コープランド:バレエ組曲ビリー・ザ・キッド
ビリーザキッドは聞いたことあるけど、説明しろといわれてもうろ覚えで自信がない。辞書に寄ればアメリカ西部の無法者。二一歳で射殺されるまでに二一人を殺したといわれる。とのこと、サム・ペキンパー監督による映画もあったなぁ・・・従って、曲の背景は当然西部劇の様相を呈しているわけで、冒頭から、おおアメリカ西部の赤茶けた大地を連想させる曲。なんか懐かしいメロディである。そして、ビリーザキッドとの銃撃戦、逮捕、脱獄そしてキッドの死という一連のストーリーを表現している。映画音楽にそのまま使えるのではないかと思える、まさにアメリカって感じの曲であった。
コープランドクラリネット協奏曲
2曲目のクラリネット協奏曲は、かのベニー・グッドマンの依頼による曲らしい。、2楽章構成で、1楽章の冒頭から透明感あふれる叙情性に引き込まれる。コープランドはフランスで修行をしていたとのことで、サティを思わせるメロディラインが印象的であった。クラリネットの透きとおるような音色を都響の主席クラリネットの佐藤が好演。後半ではソロパートの名人芸的な技巧も見せながらすばらしい演奏を披露。会場全体からの拍手に加え、仲間のメンバーからも惜しみない拍手。都響ってなんか雰囲気があったかいのです。ソリストや指揮者への拍手・歓声も素直な気持ちで表出できる数少ないオーケストラなのではないかと思う。
ドヴォルジャーク交響曲第9番 ホ短調新世界より」op.95
1楽章から、デプリーストにぐいぐい引っ張られた。緩急のメリハリをつけコーダではその熱気に圧倒されそうだった。1楽章が終わったとたん、これがCDだったら繰り返し何回も聴いただろうなぁと思った。この緩急の具合がまた絶品であった。2楽章では、1楽章とは対照的に哀愁をおびた演奏でフルートのソロに入るところでは、うるっときてしまった・・・最終楽章にいたる全曲をひとつの構造物として構築し、どの楽章も切れ切れにならない曲作りがデプリーストなのだなぁとあらためて感心する。
■アンコール コープランド「ロディオ」よりホーダウン
これも、またアメリカって曲!リズム感に溢れるこの曲を都響のメンバー全員が楽しんで演奏している感じが伝わってきた。特にバイオリンの細かく刻むメロディも、恐ろしいスピードで難なくこなすのも都響の実力だろう。