プログラム

指揮/李 心草 ピアノ/田部京子
スメタナ交響詩「ヴルタヴァ(モルダウ)」
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 op.16
チャイコフスキー交響曲第5番 ホ短調 op.64
一曲目のモルダウは素晴らしかった。大太鼓の響きが強調されていたせいか、いつも聴いているモルダウよりも、壮大なスケールを感じた。都響の弦はいつもながらとても良い響きなので、雄大な流れをうまく表現し、まさに大河の流れを感じながらうっとり聴いていた。曲の終わりにはすっかり心酔してうるうるになった。モルダウで目頭が熱くなったのは初めてだ。チェコフィルを聴いてもなかったのに・・・今日のモルダウはブラボーであった。
2曲目のグリーグ、ピアノ協奏曲・・・この曲は実は苦手な曲である。1楽章のコーダ部分は好きなのだが、全体に今ひとつぐいと引き込むものが感じられず、また3楽章の主題の土臭さみたいなのが気になる・・・だからか、折角の田部京子の演奏であったが、あまり乗れなかった〜
3曲目のチャイコフスキー5番は、ダイナミックな演奏であった。出だしから木管の美しい響きに引き付けられながら、次第に高揚してく、その振幅がとても大きく感じられた。しかし、折角の演奏も一人の若者によって聴き手の集中力を奪われたのがとても残念だ。1楽章の最後の音が演奏される瞬間「はっくしょーん」と大きなくしゃみ。。。あけっけにとられざわつく会場。ふと見れば、ふんぞり返ったり、ごそごそ動いたり、挙句の果てには立ち上がってズボンからはみでたシャツを直す仕草・・・周りの聴衆の何人かは途中で退席。居たたまれなかったのかもしれない。結局、その後も演奏中くしゃみをしたりと落ち着かない様子が気になってしまい、演奏を十分楽しめず残念であった。
はてはて、彼の人格を傷つけず、演奏会を聴衆のひとりひとりが楽しめるためには、どうすべきだったのだろう?考えさせられた演奏会であった。
アンコールのチャイコフスキー弦楽セレナーデは、とてもきれいなアンサンブルで、都響の弦を堪能できたのはよかった・・・・