プログラム

交響詩「ローマの噴水」・「ローマの祭り」・「ローマの松」
リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲
ローマ三部作をコンサートでまとめて聴くのは初めてであった。ローマの噴水の田園風景の表現描写、ローマの祭りの熱狂を岩城は巧みに東京フィルから引き出しでいたように思えた。中でも「祭り」と「松」終曲の迫力はすさまじかった。前にサントリーホールで同曲を都響で聴いて大いに感動したが、オーチャードの縦長の構造の方が大音響がじかに伝わる感じがした。金管を2階に配した立体的な音響効果もなかなか良かった。鬼気迫る迫力を老齢の岩城が発揮してくれて嬉しかった。今日はそれに加え特筆すべきなのは、弦5部による「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲」である。レスピーギの音楽は、リヒャルト・シュトラウスの対位法、ドビュッシーのハーモニー、リムスキー・コルサコフオーケストレーションを兼ね備えているというが、イタリアの古曲を研究したレスピーギのまさに珠玉の名作がこの曲だろう。その曲を岩城と東京フィルは弦のハーモニー、その美しさをもって素晴らしい名演を聴かせてくれた。自分も3曲目のシチリアーノと終曲パッサカリアを合奏したことがあるのもあって、そのアンサンブルの美しさには思い入れがあるのもあって、今日の演奏はじっくり聴き入ることができた。とても素晴らしい演奏会であった。