モーツアルト ヴァイオリンソナタ32,25,29,42番

ヴァイオリン;ヒラリー・ハーン ピアノ;ナタリー・シュー

なんて艶やかな音色なのだろう。聴き始めてすぐに思い浮かんだのが、香り豊かなコーヒー。コーヒーにもピンからきりまであるが、これはまた淹れている最中も、その馥郁たる香りを堪能できる最上級の豆と、ネルドリップで一滴までもおいしく淹れたという味わいあるコーヒーが、この演奏の第一印象である。
5月10日に一緒に来日したナタリー・シューとのデュオで、息もぴったりである。CDには二人のインタビューも映像で楽しめるが、ナタリーが話す中にピアニストでもあり、ヴァイオリニストでもあったモーツアルトのヴァイオリンソナタは、どちらの楽器も伴奏に徹することなく互いに引き立てあう関係であるという。なるほどと感心して、聴きなおしてみる・・・・
この4曲は、まさにモーツアルトのヴァイオリンソナタを代表する曲であり、喜び、悲しみ、愉しみ・・あらゆるモーツアルトがある。
優雅で活気溢れるモーツアルトの32番、叙情的な25番、モーツアルトの悲しみ29番、円熟したモーツアルトの音楽を聴くには42番・・・・しばらくは、楽しめそうなアルバムであった。