チェコ・フィルハーモニー管弦楽団  

指揮―シャルル・デュトワ
 まず、座席は1時間も並んだので一番良い席を確保。4列目の中央やや右、チェロの第1プルト正面でした。チェコフィルは丁度1年前の11月にマカールの指揮でベートーヴェンの合唱を聴いたことがあったが、今回も真骨頂のドヴォルザークではないプログラム。しかし、デュトワ氏は現地でも同じプログラムを演奏しての来日とのこと。さすがに、デュトワの十八番「春の祭典」とロシア物をチェコフィルがどう演奏するか楽しみでした。
プロコフィエフ…バレエ《ロメオとジュリエット》より
モンダギュー家とキャピュレット家
少女ジュリエット
マドリガル
メヌエット
仮面
ロメオとジュリエット
タイボルトの死
ジュリエットの墓の前のロメオ
 1曲目の有名なフレーズから、さすがチェコフィル弦で聴かせてくれるなぁと感心。特に目の前のチェロ8本の音が目の前で響きしびれてしまう。どの曲もデュトワ氏の鮮やかな指揮棒さばきで流れるような美しい旋律を奏でていました。現地での演奏からこの1ヶ月かなり弾きこんできたのでしょう。お手の物といった演奏でじつにすばらしい演奏でした。
 ところで、第1曲目は組曲版の呼び方で、全曲版では「太守の宣言」「騎士達の踊り」の2曲が合体しておるそうな。私が好きなのは、有名な「騎士達の踊り」
 この曲も調べてみると面白そうだし、今、ナクソスの試聴コーナーで聴いているが、他の曲も大変いい曲で、粒ぞろいである。
ストラヴィンスキー…バレエ《春の祭典
 この曲は演奏会では、読響とロジェストヴェンスキーの演奏で聴いたことがありますが、あまり好んで聴かない曲。しかし、若かりし頃よりデュトワ氏がこの「春の祭典」の複雑怪奇な楽譜をいつか指揮できるようになりたいと目標にしていた話を聞いていたので、デュトワ指揮でどういう印象を受けるか楽しみであった。
 20世紀初頭にこの曲が初演された際に、会場がパニックになったという逸話が残っているようですが、正直言って自分の頭でもどう理解するか悩む曲です。
背景にあるのは、「火の鳥」の作曲をしている頃に見た白日夢が元になっているようで、異教徒たちが、長老を中心にして少女を死ぬまで躍らせるような内容ということです。そういうイメージを掴んでいれば、この原始性丸出しのリズム・リズム・リズム一色の曲も、面白く鑑賞できるでしょうが、やっぱりストラヴィンスキーは飛んでいます。
 曲の向こうで、作曲者自身が踊り狂っているのが目に浮びました。デュトワ指揮ということもあって、最後まで必死で聴きました。しかし、一番いい席での鑑賞だけあって、最高の音を満喫できました。いや、おもしろかった・・・
●アンコール曲 グリンカルスランとリュドミラ序曲」
 今日一番びっくりしたのが、このアンコール。な、なんだこのすっさまじいテンポ♪ヴァイオリンは指が目にも留まらぬ速さで動くが、団員は顔色一つ変えず演奏!すごいすごい。
やはり、チェコフィルは弦がすばらしいと思った。一糸乱れぬ弦に脱帽〜あっぱれでした。