読了 北森 鴻 『共犯マジック』共犯マジック作者: 北森鴻出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2001/07メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (8件) を見る

未来を占う「フォーチュンブック」を巡って何人かの登場人物の人生の
糸が絡まりあっていく。それぞれの短編がひとつひとつのピースになって
全体像が明らかになっていく様相に、読み手はどんどん引き込まれていく。
昭和40年代の世相がこれら物語の背景にあり、最終的にはグリコ森永事件
や3億円事件の真相に迫っていくという意外な展開へと発展していく。
登場人物の名前が読み進めていく上で重要なポイントになるため、何度も
始めの部分を読み返すことになるのだが、実はこの一連の話は『問題小説』
に99年から00年にかけて掲載されているらしい。1冊の本にまとめられて
ようやく理解できるのに月刊誌でばらばらに掲載されていたのを読者は
よく理解できたなぁと不思議に思うほど、複雑な構成になっている。
しかし、頭を使って読む面白い小説という感想は久しぶりだなぁと感じた。
良い頭の体操になった面白い内容であった。