読了 楡 周平 『Cの福音』Cの福音作者: 楡周平出版社/メーカー: 宝島社発売日: 1996/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る

書名の「C」とはコカインのことである。アメリカ映画でたまに見られる
鼻から白い粉を啜るものがコカインだが、調べてみるとフロイトも中毒者であったり
昔のコカコーラにも入っていたという、実に歴史のある恐ろしい麻薬なでのある。
本書ではアメリカと日本の間の巧妙なコカイン密売ルートの仕掛けをめぐる、コカイン
中毒者や中国系の密売組織との軋轢をハードボイルド調に描かれている。
中毒者の哀れな姿や、その中毒者を生み出し利益をむさぼる組織について描かれる
部分は嫌悪感すら感じながらも、この先の展開が知りたい一念で一気に読み終わった。
作者の楡氏は、前に「ラストワンマイル」でも、企業人感覚あふれる筆致であったが
本作でも、日米間の輸送システムや荷揚げ方法、積荷の検査など詳しく描かれていて
物語の背景のリアリティが一段と増している。
悪のヒーローとしての主人公朝倉恭介はなかなかかっこいい存在であり、続編もある
ようなので続きも読んでみようっか。
今年69冊めとなるが、あと1日では70冊は無理だろう・・・来年はがんばろう。