読了1 殊能 将之 『ハサミ男』ハサミ男 (講談社文庫)作者: 殊能将之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/08/09メディア: 文庫購入: 50人 クリック: 792回この商品を含むブログ (316件) を見る

今年1冊目は年末から読み始めていたサイコサスペンスであった。
途中から主人公の生き様に辟易していたのだが、後半この本の奥深さに
目を見張り、そして読み返しながらすっかり騙されたことに唖然とする。
初めから全体をざっと読み返すと、作者のしたたかな書きっぷりに
ただただ脱帽・・・
この作者、行間に知性が光り、文体も硬質でかなりの実力派なのだなぁ
と感心しつつ、主人公の精神的な部分が見え隠れする部分には十分に
不快感を感じた。これも作者の読者に対する罠のひとつだったというの
は、最後まで読まないと味わえない。多分途中で嫌気が差して投げ出して
しまう読者もいただろうが、その人にとっては不幸である。
この本、叙述トリックの部類に入るのだろうが、読み返す中で各所に伏線
やヒントが書かれていてページを前に戻しながら後半読むと味わいが
さらに出てくる。
騙されたと分かっ時「この書き方ずるいよなぁ」と思ったが、こういう
騙されかたも本ならではの楽しみなのだろう。しかし、映画化もされている
ので、そこはどう作ったのかが謎のままである。今度見てみようっと。