都響♪

プロムナードコンサート No.326 
メンデルスゾーン:序曲『ルイ・ブラス』op.95
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調op.64
チャイコフスキー交響曲第4番ヘ短調op.36
指揮:下野竜也
ヴァイオリン:山本友重

明け方からの雪で一面真っ白の世界であったが、雪の降りしきる中
サントリーホールへ。
今日はメンデルスゾーンの誕生日でもあるが、今日の演目中2曲は
大好きなメンデルゾーンであった。
第1曲 序曲「ルイ・ブラス」
この曲は、文豪ビクトル・ユゴー原作を歌劇にする依頼を受けて作られたが、
序曲といくつかの劇中曲を書いただけで未完になっている。3日で書きあげた
という割には、金管の響きやメロディーは上品で美しく大好きな曲である。
下野氏の闊達な指揮で、実に生き生きとした演奏であった。出だしの金管部に
よる荘重なコラールから、サントリーホール全体に音が広がっていく感じだ。
スタッカートに続く弦の奏でる主題から、メンデルゾーンらしい明るくさわやか
な旋律はたまらない。緊張感を増しながらハ長調のコーダーに向かうメロディ
ラインはメンデルスゾーンの育ちのよさが出ているなぁと実感。
第2曲 ヴァイオリン協奏曲
独創は都響コンサートマスター山本友重氏。結論から言うとちょっと思い描いていた
演奏ではなかった。山本氏はコンサートマスターとして実力も十分であるが、今日の
ソリストとしての演奏は迫力が今ひとつであった。演奏は鮮やかなものであるのに
どうして自分に響いてこないのか不思議だった。オーケストラと独奏者が互いに
遠慮しあっているように聴こえてしまうのである。もっと山本氏がぐいぐい引っ張って
いってほしいところがいくつもあって、消化不良になってしまったようだ。
同じ曲を聴いても、独奏者の演奏振りも大きく影響するようにも感じた。
大げさで、陶酔しきって演奏するソリストもいるが、あれはあれでいいのだということ
も思った。山本氏の次のソロに期待したい。
第3曲 チャイコフスキー交響曲第4番
これぞ下野氏の大得意とする曲だ。今日の演奏の迫力はかなりのものであった。
1楽章からホール全体に、あらゆる楽器の音が舞い上がっていた。まるで花火のように
はじける音、音、音・・・第1楽章の重厚さ、第2楽章の哀愁、第3楽章の跳ね回る
音とそれぞれの楽章で、様々な様相を見せてくれたといえる。それにしても第2楽章の
第2主題の美しさは何だろう。目頭が熱くなってしまった・・・
第4楽章は、さらにテンポも速めで、ぴんと張り詰めた緊張感を持続させながら
迫ってくるオーケストラの響きはものすごく、息もつかせずコーダへ・・・
今日一番の盛大な拍手。すごいすごい・・・下野氏の魅力を十分に堪能できた4番
であった。ブラボ〜!!
プロムナードコンサートの目玉、アンコールはグリーグ 2つの悲しい旋律 Op. 34
から2曲目の「過ぎし春」・・・はじめて聴いた曲だが、とてもやわらかく美しい調べだ。
チャイコフスキーの興奮を鎮め、余韻を残しながら・・・帰宅