読了24 大倉 崇裕 『三人目の幽霊』三人目の幽霊 (創元クライム・クラブ)作者: 大倉崇裕出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2001/05メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (23件) を見る

大倉氏の作品は初めてであったが、軽く楽しみながら一気に読めた。
落語が大好きな者としては、落語ねたが出てきたり、演芸場の様子を伺い知る
ことができて、そういった部分でも楽しめた作品である。
落語の季刊雑誌の編集を入社早々任せられる主人公の周りにおきる謎を
編集長の鋭い推理力で解決していく「落語ミステリー」で、表題作「三人目の幽霊」
を始めとする5編からなる短編集となっている。
謎を解決する編集長は、前に読んだ『腕貫探偵』のように、わずかな情報から名推理
を展開する小気味のよさがある。
おどろおどろした事件ではなく、日常にありそうな出来事が中心になっているので
さらりと読んで「なるほどねぇ」と頷きながら軽やかに睡眠に向かえる・・・
疲れたときにはこんな本もいいなぁと思った次第でござる。
とはいえ、この作家の文章力はなかなかしっかりしていて、実力もかなりのもの。
難解な文章で煙に巻かずとも、読み手にしっかり伝える力。これは作家にとって
一番難しいことなのかもしれない。