読了46 中山可穂『白い薔薇の淵まで』白い薔薇の淵まで作者: 中山可穂出版社/メーカー: 集英社発売日: 2001/02/05メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (17件) を見る

第14回山本周五郎賞受賞作 女性同士の恋愛を描いた作品。異性、同姓を
問わず恋愛に激しい情愛の姿もあるのだろうが、この本の登場人物たちの恋愛は
哀しく、壮絶すぎる。もはや、恋愛の域を超えた世界である。
終始、二人の愛のあり方を描く場面があるのだが、不思議にいやらしさが
微塵もない。まさに人間の根源を問いながら、一行一行言葉を選んで描かれているから
なのだろう。新潮クレストで読んだベルンハルト シュリンク の『朗読者』を彷彿させる
純文学の中の純文学だなと感心しきった。
久々に手ごたえのある作品を読んだという、幸せな読後の余韻を愉しめた。
しかし、この作品は山本周五郎賞ではなく芥川賞かと思うのだが・・・