読了50 今野 敏『膠着』膠着作者: 今野敏出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2006/10/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る

『隠蔽捜査』でうなったので今野作品をと手にした本である。
接着剤メーカーの新米営業マンが、感謝の存亡に関わる重大な使命を
帯びる話であるが、読み進めていくうちに荻原 浩の『神様からひと言 』を
思い出した。一見うだつのあがらない先輩についていく新米という設定は
会社を舞台にした面白いストーリーの原点のような気がする。
ただ、『隠蔽捜査』の今野 敏ではないまったくの別人が書いたような
エンターテイメント作品であったことに驚いた。
接着剤の知識も得られて、商品展示の基本も知ることができたのも
得した気分になった。
なぜ接着剤がくっつぬのか。不思議な世界、奥の深い世界のようである。
ただ、残念だったのは書き出しで読者を十二分にひきつけておきながら
やや後半先が見えてしまった感があった点である。今野氏ならもっと
最後にぎゃふんと思い知らされる期待のほうが大きかった・・・
それでも、面白い作品である。