読了90 宮部みゆき『堪忍箱』堪忍箱 (新潮文庫)作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2001/10/30メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (50件) を見る

宮部みゆきの時代物である。ミステリアスな展開の表題作をはじめ
8作の短編が収録されている。それぞれに江戸の市井に生きる人々
を描きながら宮部流の小気味良い展開が味わえる。
中でも「お鼻の下まで」は群を抜いて良かった。
子の無い両親が、迷子や捨て子を育てる話だが、親にも子にも
それぞれ言うに言われぬ秘密を持ちながら、互いに惹かれあっている
のがもの悲しい人情物として短編で上手くまとめられている。
宮部氏は自分と同じ下町生まれなのだろう、そこここに出てくる
地名、端や川の名前を見て懐かしく感じた。