読了107 内田康夫『十三の墓標』十三の墓標 (内田康夫作品『完全愛蔵版』シリーズ)作者: 内田康夫出版社/メーカー: 双葉社発売日: 1998/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る

刑事の実姉夫婦が突然失踪する。残された姪とともに夫婦の行方を捜すが
幼い姪の覚えていたのは「いずみ」という失踪前に交わされた夫婦の会話の
断片しかなかった。夫婦は東北と関東の山中で無残な姿が発見されるが
その背景を追う中で出てきたのは和泉式部縁の地であった。
和泉式部はその出生と墓標が全国各地に点在しているらしい。それら点を
線で結びながら刑事のたどり着いた事件の核心とは?
この本を読むだけで、全国を旅することができる。さすがに内田康夫の作品
である。キーワードは姉の夫の出生の秘密であるが、そこにたどりつくまでの
展開が実に面白い。
さて、和泉式部であるがあらためて調べてみるとなかなか面白い女性でもある。
天皇の第3皇子と恋仲になったり、離婚や再婚を経験するなど恋愛遍歴が多く、
道長から「浮かれ女」と評されたともいう。
そこら辺の背景も、この作品に盛り込まれるとまた展開が変わってきたかも
知れないが、今にして思えば殺された姉の夫の母には、そんな和泉式部
生き方が感じられなくも無いかな・・・・