読了117 白石一文『もしも、私があなただったら』もしも、私があなただったら作者: 白石一文出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/04/20メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (16件) を見る

前回読んだ『南海放浪記』の作者白石一郎氏の息子さんの作品である。東京で経営が行き詰った
会社に尽くすのに疲れ果てた男が博多にショットバーを営むが、そこに今まさに司直の
手にかかろうとする元同僚で親友の妻が思いがけない相談にやってくる。
郷里の博多に戻ってきた、どうしようもない孤独と将来への漠たる不安がある男とほろ苦い過去
を共に持ち続ける女が行き着く先は、二人にとって新たな生き方の再出発でもあった。
淡々と描かれるように見える物語には、自分が思い描いていた、会社との関係や友人との関係が
大きく食い違っていることがわかるなど波乱の展開が待ち受けていて、最後までどのような
展開になるかが見えず、はらはらしながら読むことになる。
なかなか面白い作風の作者で、また別の作品も読んでみたい。