読了 吉村達也『パリの恋人殺人事件』「巴里の恋人」殺人事件 (角川文庫―ワンナイトミステリー)作者: 吉村達也出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1995/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る

地味で目立たないOLが、留守番電話を使って一人芝居。あたかも恋人がいる
かのように振舞うさみしい私生活を送る。そんな中見知らぬ男性からなぞの
メッセージが留守番電話に入るようになる。そのメッセージの通りに彼女が
向かうと、上司が何者かに殺されていた・・・果たして犯人は?
話の中にはキュビズムの画家ロベール・ドローネが登場するが、話の展開よりも
むしろこちらの作品の方に興味がわいてしまった。
その色彩は淡く、セザンヌやスーラの影響を受けながらキュビズムに向かった
ドローネ。その作品名が本書の題名ともなっている。表紙裏にはドローネの
作品があり、その3次元的な絵画と本書のテーマをうまく絡ませているなぁと
読後に改めて感心する。この作家なかなか面白い。