ベートーヴェン ピアノソナタ12

ピアノソナタ第28番 イ長調Op.101
pf;マウリツィオ・ポリーニ
このソナタ以降はベートーヴェンの後期の作品で、シューベルトの作風と重なるような自由な形式と、
繊細な感情表現が見られ、ロマン派へとつながる音楽史のエポックメーキングな作曲時期となっている。
第1楽章は愛らしい主題が印象的で、第2楽章は付点のリズムで綴る行進曲風。第3楽章ははアダージョ
序奏から、第1楽章の主題が再現され4楽章(3楽章の連続となっている演奏もあり)軽快なテンポの
ソナタ形式となっている。
ピアノソナタ第29番 変ロ長調op.106
pf;マウリツィオ・ポリーニ

この長大なピアノソナタの名称は「ハンマークラービアのためのソナタ」という名称からきているらしいが
28番も同じような名称にもかかわらず、29番だけがそう呼ばれているらしい。それだけ、28番よりも
存在感があるということなのかもしれない。冒頭の印象的な動機を貴重に展開される1楽章から終楽章まで
45分ほどもかかる曲は圧倒される存在感であるが、演奏家にとっては難しさの局地らしい、何でも作曲当時
のピアノでは演奏不能ということで、ベートーヴェン自身も「50年経てば人も弾く!」と高度な技能を妥協せずに
織り込んだらしい。ポリーニの演奏は「レコード芸術」2009年7月号でも評論家の投票で2位のギレリスの倍の得点で
1位となっている。4楽章のフーガ部分が好きなのだが、ポリーニは憎いぐらいに難なく簡単に弾きこなしている。