読了 シェークスピア『ヘンリー6世』第1部〜3部
『リチャード3世』
- 作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1983/10/01
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
- 作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1983/10/01
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
- 作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1983/10/01
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
- 作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1983/10/01
- メディア: 新書
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
この作品はシェークスピアの最初期の作品だが、(研究者の中には
文体の違いなどから他の作者がいて、シャークスピアも加筆している
という見方もあるようだ)日本語訳といえどなかなかテンポのある
台詞回しで楽しめる。それにしても、第1部にはジャンヌ・ダルクが
登場し、イギリスのフランス統治の終焉の時期が描かれる。それ以降
第2部、第3部、リチャード3世ではばら戦争で有名なランカスター家
とヨーク家の権力抗争が描かれるのだが、その人物構成は実に複雑。
伊形洋著『シェイクスピア作品・人物事典』
- 作者: 伊形洋
- 出版社/メーカー: 研究社
- 発売日: 2002/03
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
思い出そうとしても、十分な知識を持っていないのが悔やまれつつも
当時の様子を調べながら読むのもなかなか乙であった。
小田島氏の本『シェイクスピア遊学』によれば、シェイクスピアは若いころ小さな劇団で役者をする
傍ら先輩作家の代筆をしているうちに才筆が認められ、1590年(26歳)
ごろ『ヘンリー6世 第2部』で一本立ち。その後『ヘンリー6世 第3部』
『ヘンリ6世 第1部』『リチャード3世』を書いたらしい。
いずれにしても、初期の歴史劇4部作は、人物相関図なしには読みきれない。
作品の中では、口汚く相手をののしり合い、だまし、憎み、呪いといった醜い部分が
多く描かれ、かたや貴族として名誉を貫かんとし、血統を主張する登場人物たちが
親兄弟までも平然と裏切り、殺す世界が繰り広げられていく。描かれた世界が
シェイクスピアの生きた時代の100年前だとしても、当時の王家の先祖をこのように
醜く描くことができたのも、考えようによっちゃすごいことである。
登場人物の醜い姿に辟易していた自分だが、王座をやっとのことで奪還しながら、
反旗を翻していた敵を殺さずにおいて、挙句の果てに逃げられ、王座を再度奪還される
場面を読みながら、「何でこうならないように殺さなかったのか」などと考えている
自分がいた。第三者として眺めていたはずなのに、いつの間にか劇中の人物の側になって
考えてしまっていたようだ。危ない危ない・・・・