シューベルトのピアノソナタ♪

海辺のカフカ』に、シューベルトピアノソナタニ長調がその不完全さゆえに美しいと語る場面があって、いったいどんな曲だろうと図書館より借りてきた。ニ長調は17番作品53D.850である。ブレンデルの演奏で聴くと確かに退屈な音楽であるが、なぜか惹かれてしまう、不思議な曲である・・・本にはアシュケナージの弾くニ長調について語ってもいたので、今度探してみようとおもう。いままで、シューベルトピアノ曲はあまり聞いていなかったが、いろいろ聴いてみようと思い始めた。そして、同時に借りた21番変ロ長調の4楽章にはまってしまった。演奏は舘野泉である。脳溢血で倒れながらも2ヵ年のリハビリで先ごろピアニストとして復帰したという。まだまだ聞き比べてはいないので何とも言えないが、この4楽章での舘野氏のピアノはとても優しい感じがしてゆったりと聴くことができる。他にも18番の1楽章がいい。17番から21番までざっと聞いてみる限り、シューベルトが自由に楽しみながら作曲したような印象を受ける。構成をがっちり固めた曲想というより、弾くこと自体を楽しんでいるような曲のような気がする。これだけ弾ける技量があれば、きっと楽しく弾けるのではないかな・・・どの曲も2楽章はとても素敵な曲で、昼の日差しの中、アンニュイな感覚の中で時間を気にしないで聴いていたい感じがする・・・18番の2楽章はそんな中でも特に「ふにゃぁ〜」ってとろけてしまいそうである。