プログラム

■ペルト/フラトレス
現代の作曲家の作品としては異色の、和音のきれいな落ち着いた作品であった。ヤルヴィの故国エストニアの作曲家で、初期の前衛的な作風を一新させ中世の合唱音楽の研究の上に新たな作風を完成させたらしい。この曲も打楽器のリズムの上に弦楽器を中心にした聖歌風の和音で構成された旋律を反復するというとても親しみやすい曲であった。
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 作品19
この曲は、プロコフィエフの恋に落ちていた青春時代に書かれた曲らしい。プロコフィエフらしい曲想のであるが、モダニズムと叙情性がうまく調和されなかなか面白い曲である。個人的は2番の方が好きなのだが・・・・・今日のハーンは、先日のリサイタルのようにグリーンのスカートで登場。ステージ間際の席であったため、登場退場はばっちり拝むことが出来た。しかし、今日の楽員の席がステージの端までせり出していたので、肝心のハーン女史のヴァイオリンを弾く姿を十分見ることが出来なかった・・・とほほである。
しかし、ハーンの演奏は十分楽しめた。まず、第1楽章の出だしの独奏でハーンのしっかりとしていて、伸びやかな音色に引き込まれた。第2楽章のスケルツォのすさまじく速いテンポと、寸部もたがわない音程の正確さに舌を巻く〜最終楽章の幻想的な雰囲気も艶やかに表現。さすがにハーンならではの持ち味をそれぞれの楽章で発揮していたなぁと納得。
アンコールには「バッハのぉラールゴ」と日本語で紹介して、得意のバッハを披露してくれた。つくづくバッハからショスターコヴィッチまで幅広く弾きこなせる才能に脱帽であった。また会えるのはいつなのか・・・しばらくさようならです。
ショスタコーヴィチ交響曲 第5番 ニ短調 作品47
さて、NHK交響楽団でこの曲を聴くのは2度目である。はじめはシテファン・ザンデルリンクが一昨年演奏したのをNHKホールで聴いた。今回はステージ間際で聴くと言う違いこそあれ、パーヴォ・ヤルヴィの音作りとN響の弦のすばらしさをあらためて感じた。特に曲全体で感じたが、細かいパッセージを細かく正確に刻む弾き方が大変印象に残った。また、2楽章の低音部から入る出だしをデフォルメし、第4楽章のコーダへ突入する辺りからの盛り上げ方など、じつに若々しい熱気溢れる指揮ぶり、オーケストラのコントロールがうまいと感じた。コーダの熱気は佐渡裕都響2004年6月の方が勝っていたかなと思うが、十分満足のいく演奏であったことは間違いない。今後もヤルヴィーは注目していきたい。