読了

ベルンハルトシュリンク『朗読者』

朗読者 (新潮文庫)

朗読者 (新潮文庫)

この本は、2度目になる・・・最初読んだときよりも深く読めた。いや、前半の年齢差のある恋の話から、後半の彼女のやるせない秘密とドイツ人の持つ重い歴史に考えさせられました。最後の場面は、実に哀しい。この本は、毎月目を通していた新潮社の小冊子で特集されていた「新潮クレストブック」シリーズの名作紹介で知ったのだが、このシリーズは、いくつかを読んでみたがかなり文学的にも優れた作品が多く、中でもこの作品は評価が高いらしい。敗戦国としての共通点を持つドイツの戦後を、日本の戦後と照らし合わせながら読んでしまうことになるが、戦争の中にいたちっぽけな人間が、戦争というレンズをとおして自分の思いに反して巨大化してしまう不条理を感じる。戦争中の行動を問われた主人公が裁判長に問う「あなたならどうしましたか?」正義とは平和な時代にしか存在しないのか、思いテーマだった。