モーツアルト39番

 モーツアルトは39番には、オーボエの代わりにクラリネットを入れているそうな。どうりで、やや哀愁を帯びた音色だ。
 今日の演奏は、実に小気味良いテンポで、とても聴きやすい39番であったという感想をもった。小気味良いこのテンポ、決して安物の演奏ではない極上のテンポなのだ。1楽章の堂々とした輪郭も、2楽章のアルトの歌姫のようなあでやかさも、3楽章の運動系のさわやかさも、しっかりとデプリースト氏は計算しているのだ。だからこそ最終4楽章のすさまじい速さも、全体のバランスからみると輝いている。全曲をもって一つの作品に仕上げているのがデプリーストのすごいところである。