バイエルン放送響♪

マリス・ヤンソン指揮、バイエルン放送響のコンサートであった。
■プログラム
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23
ベルリオーズ幻想交響曲
イェフィム・ブロンフマン(Pf)
 まず、ステージに登場したオーケストラは、全員揃うまで起立しているのに驚いた。なんと礼儀正しいことよ。その様子だけ見ても、オーケストラの雰囲気が伝わってくる。
 1曲目のチャイコフスキーのピアノ協奏曲。ブロンフマンの個性の強さに驚いた。その奏でる音はとてつもない迫力であり、弾き方もめまぐるしい指使いで見ていて実に驚いた。1楽章ではこの個性が先走り気味に聴こえ不安が先行したが、2楽章ではブロンフマンの音楽性がうまくオーケストラと合い叙情性豊かな響きとなっていた。そして3楽章は、実にエネルギッシュな演奏で、まるでピアノから火が吹き出そうな勢い。こんなものすごいコーダを見たことも、聴いたことも無い。手の動きを見ているとその早業に瞬きも忘れるほどであった。たまには、こんなものすごい演奏もいいかな。拍手は鳴り止まず、2曲のアンコール(シューマンの謝肉祭から間奏曲、ショパンエチュード「革命」)も、個性的な素晴らしい演奏、ただものではないことを実感した。
 2曲目は幻想交響曲。これはじつに素晴らしい演奏であった。1楽章からヤンソンの指揮からは、音楽の立体感を感じた。テンポと抑揚のバランスが実に豊かな広がりを感じさせてくれる。おお、こんな幻想聴いたこと無いぞ、と2楽章。ヴァイオリンの奏でる繊細な音色を聴いて涙が出てきた。実に美しい。まるで絹糸を紡いでいるような柔らかな音楽が会場に響き渡る。そして3楽章では、イングリッシュホルンと舞台裏から聴こえるオーボエの掛け合いや、ステージ裏のティンパニー、P席裏の鐘の音と実に広がりのある演奏で楽しませてくれた。この演出が幻想交響曲のまさに幻想的なイメージを作り上げるのに実に効果的であった。4楽章の断頭台への行進では、ティンパニーや大太鼓の迫力に圧倒され、最終楽章ではオーケストラの全エネルギーが爆発、その興奮・・・まさに圧巻。感動感動!
 このオーケストラも、マリス・ヤンソンと心が通い合って素晴らしいまとまりを見せていることが、じつによくわかった。ヤンソンも先日のデプリースト同様、弦5部もそれぞれに立たせて賞賛をしていた。見ていても実にいい風景である。
 そして、各楽章で共通してオーボエとフルート、クラリネットファゴット木管系の美しい音色が際立っていた。なかなかの名手を揃えている。
 拍手は鳴り止まず(ヤンソンが前回ロイヤル・コンセルトヘボウと来日したのと同様)、アンコールも2曲、ハイドンのセレナーデで弦の美しい響きを聴かせてくれた後は、ベルリオーズのローマの謝肉祭で感動のフィナーレ・・・・素晴らしい演奏をたっぷり満喫させてくれた演奏会であった。いやー満足満足。