読了

宮部みゆき火車

火車 (新潮文庫)

火車 (新潮文庫)

破産という言葉はよく聞くが、意外と中身が見えない。この本を読んで、破産するとはどうくことか、破産をした後どうなるのかがある程度理解できた。
一時期社会問題となった個人破産をテーマに、人間の失踪劇がスリリングに描かれ、500ページがまさにあっという間に思えた。いつも、最後の最後まで、結末がわからないままぐいぐい読み手を引っ張る宮部女史のストーリー展開だが、中でも傑出していた作品のように思えた。ただ、へそまがりかもしれないが、弁護士役の台詞を通して懇切丁寧な説明が多かったのは、破産について勉強になったとはいえ、教科書的な記述になっているような感じを受け、小説として徹するにはどうだったのかなぁと思うところもあった。
しかしながら、満足度は十分の作品であった。