読了『国家の品格』

この本は、まさに現代人にとって見失っている価値について気づかせてくれる。疑っても見なかった「論理」「ロジック」の落とし穴。本当に論理的であることが、重要なのかという問が筆者から発せられる。目先の価値に捉われることなく、真に価値ある「価値観」こそ重要であるということなのだろう。印象に残るのが国際人についての定義だ。真の国際人を育てるための英語教育ではなく、一見遠回りのようであっても自国の文化を十分に学ぶことこそ、英語だけ話せて魂の無い薄っぺらな人間ではない、厚みのある、教養を身に付けた国際人への近道であると。
すぐさま実用的に役立つことは無くても、文学や芸術の素養を身に付けていることこそ、尊敬に値するというくだりはまさに同感である。
言葉の端々に、読みようによっては右よりの感覚が感じられるが、その奥にある筆者の思いを読み取れば、現代社会に生きる我々への喫緊の課題であることが素直に伝わってくる。
新潮社の毎月送られてくる小冊子「潮」の先月号には、山田太一との対談も掲載されていた。あわせて読むとなお筆者の真意がよくわかる。
この本、題名こそ「国家の・・」であるが、我々個人の生き方に当てはめればそのまま」「品格ある生き方」ということにもなろう。
もっと本を読まなくては・・・・