読了『沖で待つ』(『文芸春秋』)

文藝春秋 2006年 03月号

文藝春秋 2006年 03月号

文芸春秋芥川賞作品『沖で待つ』が掲載されていたので読む。絲山秋子氏の実力についてはよくわからないが、どうも物足りない。最近の芥川賞はどうも理解に苦しむ作品が多いい。 石川達三『蒼氓』井上靖『闘牛』 大江健三郎『飼育』遠藤周作『白い人』宮本輝『螢川』北杜夫『夜と霧の隅で』をむさぼるように読んだ頃とどう違ってきているのかよくわからないが、現代の文学の「ものさし」として果たして妥当なのか。20年後に、あの作品は良かったなぁと本当に思えるのかがただただ疑問であった。 吉村萬壱氏の『ハリガネムシ』を読んだときの嫌悪感こそないけれど、淡々と同僚の男女を綴り、不思議感覚を少し盛り込んだだけのようで、読後に目を閉じ考え込んでしまうことは、一切なかった。
芥川賞って何なのか・・・そちらを考えた時間の方が長かった。ちなみに、文芸春秋のHPでは、芥川賞を、「各新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品中最も優秀なるものに呈する賞(応募方式ではない)。主に無名もしくは新進作家が対象となる。」と定義している。