トリトンスクエアへ

第一生命ホールの弦楽四重奏コンサートへ。

門前仲町から大江戸線勝どき駅・・・徒歩7分。
◆クス・クァルテット
[ヤナ・クス/オリヴァー・ヴィレ(Vn)、ウィリアム・コールマン(Va)、
フェリックス・ニッケル(Vc)]
モーツァルト弦楽四重奏曲第1番ト長調K.80/
◆ベルク:弦楽四重奏曲op.3
モーツアルト アダージョとフーガハ短調K.546
ベートーヴェン弦楽四重奏曲第8番ホ短調op.59−2「ラズモフスキー第2番」
とても落ち着いた雰囲気のコンサートホールで、コンサートの出演者や演目も渋い。
今日のクス・クァルテットは、1991年 ベルリンにあるハンス・アイスラー音楽院の学生で結成。若いクァルテットだが、様々なコンクールで受賞しかなりの実力。
第1ヴァイオリンのヤナ・クスは女性で、あとは男の編成。
1曲目のモーツアルトの1番・・・めったに聴けないこの曲は行く前にナクソスのHPでチェックしたが、なかなか面白い曲であった。実に意気のあった演奏で、曲全体の抑揚を見事に揃えてメリハリを感じた。特に3曲目のアダージョとフーガは、こんなに切ない演奏はないぞ・・と思うほどの気持ちの入り方。ラズモフスキーでは持ち前の演奏テクニックがひかる流れるような展開で、第1楽章のしっかりとした内容や2楽章の情感たっぷりの演奏。3楽章の小気味良いリズムと最終楽章の緩急強弱がはっきりした鋭い線と力強さの感じられる演奏と、さまざまな色彩を織り交ぜた演奏にただただ舌を巻いた。
このクァルテットは、一言で言えば端正で、律儀な演奏を根底にしながら、その中に4人の情感を上手く入れ込んでいるような感想を持った。だから決して軽くないし、重すぎもしない。淡々と曲が流れていながら、ぐいぐい気持ちを引き込まれているという感じを抱く演奏だ。4人の演奏後の挨拶ひとつ、演奏後のサイン会の様子を見ても、まじめで純朴なドイツ人というイメージを強く持った。このクァルテットはきっと大きく成長するに違いない。と思って、CDを購入してサインをしてもらった。