プロムナードコンサート No.319(サントリーホール)

指揮:佐渡裕
ピアノ:仲道郁代
ヴァイオリン*:矢部達哉
イベール:室内管弦楽のためのディヴェルティメント
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 k.466
リムスキー=コルサコフ:交響組曲シェエラザード」 作品35 
イベールのディベルティメントは、佐渡氏の若かりし頃の思い出がつまった曲とのことで
マイナーで小編成(16人編成)な曲でありながらも、その華やかで愉しい響きはなかなかのもの
でした。学生の頃にメンバーが少なく、その編成に合わせた曲を探していて見つけたそうです。
この曲を終え、2曲目の場のセッティングの合間に、佐渡氏はそんな話をしながら、得意技の縦笛を
披露してくれました。小学生の頃から、縦笛が得意で周囲を愉しませていたとのこと。
曲は「タイガーマスク」♪前奏から始まって「いけーいけータイガー♪」の節に続けて、自ら「タイガー」
と言葉で言うなど実に楽しい演奏でした。佐渡氏曰く「タイガーの合いの手は定番なので、皆さんにも
言っていただきたかったのですが・・・」会場を実に和やかな雰囲気にしてくれました。
2曲目の20番では、佐渡氏流の実にふくらみのある演奏で、1楽章からその立体感あるオケの響きに魅了。
また、仲道郁代のピアノも艶やかで、その流麗な音の連なりにうっとりしてしまいました。
2楽章のフレーズでは、ゆっくりと時を刻むかのようなやわらかな演奏に、心も体も溶けてしまいそうな気分に・・
間髪をいれずに3楽章に入ると、力強くまさにデモーニッシュなまでのモーツアルトの叫びが聴き手に迫ってくる
感じがし、それでいて美しい何ともいえない第2主題とのアンバランスさが堪らなく、実に満足感を感じさせる
演奏でした。仲道郁代のピアノを引き立てつつ、自分の音楽を前面に出す佐渡氏の指揮には、ただただ脱帽!
3曲目のシエラザードは、コンサートで聴くのは初めてでした。自分の持っている演奏ではゲルギエフのものが
実にロマンティックで大好きですが、やはり生の演奏に勝るものは無しといった感想を今日もちました。
コンサートマスター矢部達哉氏とチェロの古川展生のソロも良かった。
この曲は特に1楽章から繰り返される主題のメロディが堪らなく、何度も楽器や編成を変えながら出てくるのが
この曲の魅力として感じています。
この曲の演奏を目の当たりにすると、その編成や様々な楽器の活躍が実に楽しいことにも気づかされ、多くの発見を
しながら楽しんでこの曲を聴くことができたのも良かったです。
そして、大きな拍手に迎えられてのアンコールは、チャイコフスキーくるみ割り人形からトレパック。
その演奏する姿を見ていると、この都響のメンバーが実に和気藹々としていて、アットホームだなとあらためて
思いました。自分たちの演奏を楽しんでください、自分たちも演奏を楽しんでいます・・というメッセージが
伝わってくるのです。
いつも都響のコンサートの帰りは、心も晴れやかになっていて、この日も幸せ気分に浸りながら帰りに日本橋
コレドの上島珈琲で大好きな黒糖ミルクコーヒーを飲んで帰りました。うまかった〜