コーンウェル読了

読了 パトリシア・コーンウェル『警告』

警告 (講談社文庫)

警告 (講談社文庫)

検死局長ケイ・スカーペッターが主人公のシリーズ10作目。海外から送られてきた
コンテナの中の腐乱死体の描写は実にリアルに描かれ、別にそういった内容が好きなわけではないが
興味をそそられた。死体の解剖などの克明な描写は普段余り目にしないので「へぇ」と思いながら
読んだ。中盤からは、前作までの登場人物に関する主人公の心情が赤裸々に描かれ小説としての表現に
こそ関心を持ったが、その分事件解決に向けたサスペンス要素はいまひとつだったように思う。
しかし、作者の検死や科学調査の薀蓄には感心する。取材力あってのものなのだろうが、ここまで書ける
のは並大抵の取材ではないだろう。実際に腐乱死体を見たり、匂いをかいだりしたこともあるのかも知れない。
いや〜普通の生き方をしている我々には到底書くことが出来ない文章だ・・・などを考えながら最後まで
読んだ。事件解決へは、最後の最後でとんとん拍子に進んでしまったのには拍子抜けしたが、取材力と描写力
には脱帽した作品であった。