倒錯のロンド

読了 折原一『倒錯のロンド』

倒錯のロンド (講談社文庫)

倒錯のロンド (講談社文庫)

はじめて読んだ『101号室の女』で受けた印象とは、だいぶ違った折原一の文章
であった。101号・・は、月刊誌に掲載された短編だったこともあるだろうが
文章自体にやや素人っぽい感じを受けていた。
この作品でも、時折登場人物の台詞に「ん?」と思うような箇所はあったが、
大きな構成の中で、読者を引き付けるストーリーテーリングはやはり絶妙であった。
そういうバランスを欠いたところが、なんとも不思議な作家だと思う。
物語は、作家を目指す男の書いた懸賞への応募作品をめぐるものだが、最後の最後まで
どのように話が展開するのかと期待を持ちながら読み進める事ができた。話自体がまさに
ロンド形式で進行されている。そういった、話の持って行き方が絶妙でなかなか面白い。
この作家の作品も、これからチェックしていこうと思う。