梅・・咲く

梅が咲いた。

読了　池上司『ミッドウェイの刺客』

ミッドウェイの刺客

ミッドウェイといえば、太平洋戦争における日米の立場逆転となったエポックメーキング
な海戦しか思い浮かばなかったが、たった一隻で敵の真っ只中に空母を撃沈させた潜水艦
がいたとは知らなかった。
この小説ではその潜水艦「伊168号」の偵察任務から、空母「ヨークタウン」
を魚雷攻撃し日本へ戻るまでを描いている。
周囲の駆逐艦の警戒網をくぐり抜け、敵空母の真横に出て、
４本の魚雷を発射したという、伝説の「たった一隻の戦い」の様子が迫真の筆致で描かれている。
読後に調べてみたが、日本の攻撃を受け漂流していた空母を護衛する駆逐艦「ハンマン」も１本の魚雷が
命中し沈没。当の空母「ヨークタウン」には２本命中し、攻撃の翌日に沈没したとのことである。
太平洋の真っ只中で、しかも周りが敵ばかり。潜水艦となれば、爆雷で海の底に沈めば二度と海の上に
上がってくるこのとのない過酷な環境であることを改めて認識した。
最近、硫黄島やミッドウェイなど戦記ものを読んでいると、その時代に青春を過ごさざるを得なかった
大正から昭和初期生まれに切ない感情がこみ上げてくる。