読了『八月のマルクス』八月のマルクス作者: 新野剛志出版社/メーカー: 講談社発売日: 1999/09メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (7件) を見る

この作家、周囲に無断で失踪し、ホームレス生活に入り、三年間の放浪生活を経て
この作品で第45回江戸川乱歩賞を受賞だそうだ。このことは読後に知ったのだが
そういえば、読んでいる中で、作家のそんな生き方を反映してか、どこかしら世の中の
不条理を訴える作者自身がいるように思えた。
図書館ではじめにタイトルを見たときには、左翼系のハードボイルドなのかなと
思っていたが、マルクスはお笑い系でありました。なるほど・・・
読後にようやくこのタイトルの意味がわかるようになっているのだが、何かタイトル
で受ける印象と中身があまりにもかけ離れていたので、もう少しいいタイトルは
なかったかなと感想を持った。
登場する人物の過去と事件が、後半から徐々に明らかになっていくが、最後の最後に
なって犯人しか知りえない情報から、謎がすべて明らかとなる。うーん、これは
謎解きをしていく主人公と読者にとっては、ちゃんちゃん・・って感じである。
様々な情報を元にたぐり寄せていく真実が、結局「おしいねぇ・・本当はこうだったの」
と正解を犯人があっさり話すのだから、最後は「なるほど」よりも「なーんだ」
という感想になってしまったのが残念だった。
ほとんどわかっているけれど、あとは犯人のみ知っている事実を知るという終わり方
であって欲しかった・・・かな。
しかし、題材としてはコメディアンたちの素顔と芸能界の裏事情を取り上げていて
面白かった。しかし、ファンは恐るべし・・・・という読後感をもって読了。