読了 スティーブン・ハンター『魔弾』魔弾 (新潮文庫)作者: スティーヴンハンター,Stephen Hunter,玉木亨出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2000/09メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (8件) を見る

ティーブン・ハンターの処女作とのことだが、なかなか読み応えもあり
初めて書いた作品とは思えないできばえであった。
第2次世界大戦末期のドイツ軍の狙撃手による、背後に大きな意図を持つ秘密裏の作戦遂行
を追うサスペンスである。
ユダヤ人とシオニズム、最新鋭暗視装置付ライフルといった一見ちぐはぐなキーワードが
次第に収斂され、最後の結末へ読者を引き込んでいく。
丁度、無料映画Gyaoで「レマゲン鉄橋」という、敗戦間近なドイツ軍の撤退を巡る映画
を見ていたので、時代背景を思い描くことができたのも面白さにつながったのかもしれない。
さて、この本に登場する歩兵用の赤外線暗視装置であるが、いろいろ調べてみると、開発はなんと
1936年頃からすでに始まっていたようで、1943年頃からは生産も開始され、戦車に搭載され実戦に
利用されていたという。この話の時代設定である大戦末期には歩兵用の暗視装置が生産されたという
ことであるので、史実に基づいた場面設定がなされていたということである。
銃器には詳しい方なら、さらに面白さも倍増するような話なのかもしれないが、銃器に関心のない
小生でも「85へぇ」くらいのトリビア感覚で読むことが出来た。