読了 西澤 保彦 『腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿』

腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿

腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿

図書館で見つけた。面白そうな題名に引かれてつい手にしたのだが、読んでみて
実に面白かった。腕貫をした市役所の苦情係が登場し、登場人物たちの巻き込まれている
難事件の手がかりを教えてくれるというパターンの短編集である。
それらのお話は、登場人物などを介して連続性を持たせているところも面白い。
飲んでつぶれた若者が偶然同じアパートの住人の死体を人里離れたバス停で発見するが、警察を
呼びにいっている間に忽然と姿を消す。遠く離れたアパートへ戻ると死体は被害者の部屋に・・
腕貫探偵のヒントは「診察券」と一言。相談を受けるや否や見事な推理で解決へのヒントを伝える
苦情係も恐るべしだが、日常生活の観察の中からさまざまな事件解決への視点を書き連ねている
作者の観察眼にも驚かされた。「なーるほど」と感心しながらあっという間に読み終わってしまった。
この作者、かなり多作の様でシリーズ物もかなりある。
軽く読めて、奥の深いの書き手であるので、他の作品も是非読んでみたいものである。