最後のデプリースト♪

プロムナードコンサート No.327 
サントリーホール
指揮:ジェイムズ・デプリースト
ハイドン交響曲第88番ト長調
ベートーヴェン交響曲第8番ヘ長調op.93
ラヴェルマ・メール・ロワ組曲
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル:ラ・ヴァルス
都響におけるデプリースト最後の演奏会であった。
3年の間に、様々な感動を与えてくれたデプリーストの指揮も
見納めかと思うと寂しい♪
今日は前半「8」にちなんだハイドンベートーヴェンだったが
やはりホール全体に響き渡る音の余韻は最高であった。
特にベートーヴェンの8番は演奏会であまり聴く機会がなかったので
演奏者の動きとともに曲の構成がよくわかり興味深かった。
3楽章でティンパニーとファゴットの掛け合いをするところも
目で見ても楽しめる場面だった。
後半に入る前に、向かいのP席で客同士のもめごとが起きて驚いた。
何が原因かはわからなかったが怒号がホールに響くのは哀しい・・・
後半はラヴェルラヴェルの音、曲想はフランス語を連想させる。
マ・メール・ロワとはフランス版「マザーグース」のことだそうだが
シャルル・ペローの童話集をもとに作られたピアノ連弾曲。
それをオーケストレーションした組曲は、さすがに音の魔術師だけあって
木管と弦楽器からじつに不思議な世界を繰り出している。
デプリーストの幅広いレパートリーにも驚かされる。
第1曲 眠れる森の美女のパヴァーヌ(Pavane de la belle au bois dormant)
第2曲 親指小僧(Petit Poucet)
第3曲 パゴダの女王レドロネット(Laideronette, impératrice des pagodes)
第4曲 美女と野獣の対話(Les entretiens de la belle et de la bête)
第5曲 妖精の園(Le jardin féérique)
次の亡き王女のためのパヴァーヌも実にデリケートな演奏で美しかった。
やさしい音を引き出す指揮者の人間性が見事に出ているのだなと思った。
最後はラ・ヴァルスで第1次大戦後のデカダンスを謳いあげフィナーレ
演奏後、何度も何度もカーテンコールに呼び出されたデプリーストに
いつまでも拍手が鳴り止まなかった。
3年前ガリー・ベルティーニ都響を離れるときには、最後の曲をハイドン
「告別」にしていたこと、フルネが東京文化会館で最後の演奏会を行ったとき
最前列にいて見送ったことも思い出しながら、デプリーストの去る姿を見届けた。
デプリーストの演奏会では、いつも様々な発見があった。車椅子に乗りながらも
大きく指揮棒を振りダイナミックな演奏を聞かせてくれた。
最後はラヴェルの音を堪能させてくれて都響を去っていった。
感動をありがとう・・マエストロ