読了38 西村京太郎『愛と悲しみの墓標』愛と悲しみの墓標 (文春文庫)作者: 西村京太郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1997/04メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る

独身実業家が殺され、残された三人の愛人をめぐり殺人事件が次々と起こる。
舞台は会津と日光で、自分が昔訪れた場所なので「ふむふむ、あの辺りか・・」
と思いながらあっという間に読了。あまり馴染みのない西村作品だったが
前の職場の古本交換コーナーで手に入れたので読んでみた。
有名な十津川警部なのだが、本作では前半から犯人に翻弄され続けている
ような印象が残った。ポアロのように、読者の気づかない事件の真相を
水面下であれこれ調べて回るような人物像ではなかったのが意外だった。
読み始めた段階に出てくる世の中を疎んで自殺を考える青年に巻き起こる
不可解な事件はなかなか面白い。その事件と並行して起こる遺産をめぐっての
殺人事件が実は前半と深い関連があるわけだが、そのつながりがわかり始める
部分でやや無理があったような印象も感じた。しかし、最後にわかる意外な
犯人には驚かされたのだが、読後の感想としては「まあ、まあ・・」かなと
いうものであった。これぞ西村京太郎作品〜というものがあれば、ぜひ今度
読んでみたい。