読了52 浅田次郎『憑神』憑神 (新潮文庫)作者: 浅田次郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/04/25メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (111件) を見る

どうも最近本を読むスピードが落ちてきてしまった・・・
帰ってくると疲れ果ててばたんQと寝てしまうことが多いせいか。
さて、本作は先般映画化されたいわずと知れた作品である。映画は見ていないが
本作を読みながら頭で映像化しながらじっくり読む。
浅田次郎の作品には、不思議な魅力を感じていて、随所に人生訓なるものがあって
話の導入も展開も、そして結末に至る落としどころも気に入っている。
この作品でも時代背景とうまく絡ませながら、貧乏神、疫病神、死神の3神と
時代遅れになってしまった無骨な武士とのやり取りがなかなか面白かった。
この本を読みながら、果たして浅田氏は話の顛末を思いついてから、全体の構成を
考えたのか、はたまた3神と人間とのやり取りの妙味から話の流れを作ったのか
と考えた。いやいや浅田氏のストリーテーリングの上手さは、凡人にはまねが出来
そうもない。
この本の面白さは、前半の、つきのない武士と3神のやりとりもさることながら
最後にはちっぽけな男がでっかい人物へと変貌する後半の二つにあろう。
面白さの中に、人の生き方が上手く絡まっている作品構成に恐れ入った。