読了 山本武利『日本兵捕虜は何をしゃべったか』日本兵捕虜は何をしゃべったか (文春新書)作者: 山本武利出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2001/12メディア: 新書 クリック: 12回この商品を含むブログ (7件) を見る

第二次世界大戦の捕虜数で傑出して多いのはドイツである。その数9,451,000
次はソ連かなと思っていたが、ついでフランス5,893,000、イタリア4,906,000
イギリス1,811,000・・・と続き、ソ連は一桁違って215,000、日本はそれより
少ない208,000となっている。日本の捕虜が少ないのは予想通りなのだが、20万人
もいたのかというのも正直なところである。
この数字を見ても「捕虜」に対する文化の違いを強く感じる。「生きて虜囚の辱めを
受けず」ということから多くの若者が死んでいったのは、哀しい。
本書では捕虜になった者たちが、いかなる内容を話したのか、なぜ話したのかが書かれ
ているが、早期にこの戦争を終わらせるために話す者や戦争終結後には帰国させないで
くれと訴えるものなど、様々な捕虜の心境が浮き彫りにされている。
捕虜のモラール調査では、天皇に対する不信感を抱くものがいない反面、軍部リーダーには
かなり不信感をもっていたことにも驚いたが、さらに不信感を持っていたのがマスコミで
あったことにも驚いた。
米軍は捕虜に対する情報収集においてかなり合理的に行い、戦局を左右させるほどの
成果をあげていることも良くわかった。すでに情報戦で日本は負けていたのだなぁ