ベートーヴェン ピアノソナタ1

昼から家族Aの新年会。ほとんど甥っ子の面倒は自分の役割で途中から
近くの公園で遊んだりコンビニに買い物の行ったりして、やっと3歳の
子ども相手に「アイス買ってあげるから、さっき貰ったお年玉を寄こしなよ・・」
などからかいながら結構愉しむ。
今日から、ベートーヴェンピアノソナタを順番に聴いてみることにする。
◆ピアノ・ソナタ第1番 ヘ短調 Op. 2 No. 1
ピアノ:アニー・フィッシャー

ハイドンに献呈された作品2の3曲の第1曲目。これからの4曲は4楽章編成となっている。
第1楽章冒頭の主題はモーツアルト交響曲25番1楽章、40番の4楽章などと似ている
という指摘もあるが、言われてみてそうかなと思う程度で、若い日のベートーヴェン
独自性を強く主張しようと躍起になっているだろうから意識はしていなかっただろう。
2楽章を聞くと、あまりに大人びた愛くるしさに改めて作曲年を確かめると、25歳の時の
作品であることに驚く。なかなかきれいな牧歌的な旋律である。
3楽章はメヌエットとありながら、メヌエットぽくない不思議なリズムである。中間部の
トリオがなかなか面白く、歌うような旋律である。
4楽章の冒頭を聴けば、やっぱりベートーヴェンを感じる。情念というか彼の根底にある
熱い思いはこの頃の作品にも見られるのかとあらためて思う。展開部からの主題はなかなか
さわやかで気に入っている。
◆ピアノ・ソナタ第2番 イ長調 Op. 2 No. 2
ピアノ:アントン・クエルティ

ハイドン宛の2曲目である。3曲中明るい25歳の青年らしさを感じられる曲で、1楽章の
冒頭はモーツアルトの4手のためのソナタの主題に告示しているようだ。2楽章は実に不思議な
曲で、左手が刻むゆったりとしたリズムに右手が旋律を乗せていくのだが、中間部になって次第に
力強さを見せたかと思うと、またゆったりとしたペースに戻る。何かを暗示しているようだが
何なのだろう?3楽章はピアノソナタに初めてスケルツォの楽章を設けたという曰くつきの楽章。
4楽章はアルペジオを多用してちょっと鼻につくが、主題の旋律はなかなか美しい。中間部から
変奏曲風な展開になって面白みを増し華やかに終結する。
◆ピアノ・ソナタ第3番 ハ長調 Op. 2 No. 3
ピアノ:ゲルハルト・オピッツ

作品2の3曲中この曲が一番いい。第一楽章の主題の華やかさ、みずみずしさが印象的である。
途中、モーツアルト的な主題もあり変化に富んでいる。2楽章の分散和音の伴奏に右手で旋律を
歌わせるのは「月光」のような雰囲気をかもし出している。3楽章はややバッハ風の対位法を
見せながらのベートーヴェンで面白い。最後に消え入るように終わる辺りはにくい・・・
第4楽章はきらびやかな装飾が施された華やかな曲となっている。最後の最後、コーダにもう一味
欲しかったかな・・・と思うものの、自信にあふれているように感じる堂々たる曲である。