読了 アリステア・マクリーン,『女王陛下のユリシーズ』女王陛下のユリシーズ号 (ハヤカワ文庫 NV (7))作者: アリステア・マクリーン,村上博基出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1972/01/01メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 66回この商品を含むブログ (29件) を見る

イギリスからソ連まで戦時物資を運ぶ護衛を命ぜられるユリシーズ号。立ちはだかる
前例のない嵐とドイツ軍による潜水艦攻撃、航空機攻撃は傷ついたユリシーズと乗組員に
過酷に執拗に迫りくる。海洋小説の金字塔との評判の作品だが、前触れもなく突然襲い掛かる
敵の攻撃にあたふたとしつつ、また船内の様子や被害の状況など予備知識がないだけに
戸惑うことも多く、読み終わるのに時間がかかってしまった。
ゆっくり、じっくり読み進めないと、この作品の味わいは半減されるかもしれない。
それにしても北海を行く船団は、恐怖との戦いでもある。海へ投げ出されただけで凍死する世界
は、逃げ場のない究極の世界だ。南太平洋で戦うのも、もちろん恐怖に違いないだろうが
それ以上に過酷さがひしひしと伝わり、読み進めていくのさえ苦痛になっている自分がいた。