読了 シェイクスピア『じゃじゃ馬ならし』じゃじゃ馬ならし (白水Uブックス (7))作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志出版社/メーカー: 白水社発売日: 1983/10/01メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (4件) を見る

冒頭飲んだくれのスライが眠りほうけているのを、領主のいたずら心で
眼を覚ますと大金持ちになっていて、15年も病で正気に戻っていなかったように
思わせる。そして、まんまと騙されたスライに生まれて始めての劇鑑賞をさせる。
そして、見せる劇こそが劇中劇の『じゃじゃ馬ならし』である。
物語はイタリア、パデュアが舞台。資産家バプティスタ二人娘の姉キャタリーナが評判の
じゃじゃ馬で、彼女が結婚しなければ妹も結婚させないと決める。
しかし、妹ビアンカは器量よしの上、おしとやかなので、何人もの求婚者がいる。
姉を何とか結婚させつつ、妹の心を射止めようと、あらゆる手を下しての騒動が
巻き起こる。
しかし、この劇中劇。なんとしたことか、はじめ酔っ払いスライは再登場しない。
シェイクスピア先生が忘れてしまったのか?なんとも不思議な作品となっている。
この作品の主題について、後世女性蔑視とさんざんたたいたそうだが、そんなことを
頭において読んでみると、最後の場面では決して男どものいいなりにならない様子や
食べさせず、寝かせずという厳しさでじゃじゃ馬を教育する場面でも、夫は自分も食べず
寝ずという姿勢を見せているし、決して一方的な女性蔑視とも言えないように思える。
当時の女性観なども垣間見られ興味を引いた作品であった。