読了 シェイクスピア『ジュリアス・シーザー』ジュリアス・シーザー (白水Uブックス (20))作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志出版社/メーカー: 白水社発売日: 1983/10/01メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る

ローマ時代のカエサルへの陰謀・暗殺とその死の余波が描かれている。プルタークスのローマ史に基づいて描かれている。この劇ではシーザーは第3幕の始めに死んでしまい物語の中心的人物ではない。むしろ主人公はブルータスであり、彼の友情と愛国心の間の葛藤が描かれている。
「ブルータス、おまえもか・・・」(実際は「おまえもか、ブルータス」)という言葉だけしか知らなかったが、シーザーをめぐるブルータスの心情、ローマの雄弁な弁論術が実に面白かった。
シーザーをなぜ殺さなければならなかったかを弁ずるブルータスの雄弁以上に、暗殺者たちをこき下ろさず、実際は暗殺者への痛烈な批判を論じるマーク・アントニーの弁舌には恐れ入った。
シーザーの死後、遺言により市民に遺産が配分されたとか、ブルータス一派が後にマーク・アントニーやシーザーの養子オクタウィアヌスと戦って敗れたなどという史実を初めて知った。
調べてみると、劇中では史実をはしょりながら上演時間内で話をまとめてあるのだが、うまくまとめたものだと逆に感心してしまう。
これからは「ブルータス、おまえもか」ではなく「おまえもか、ブルータス」と言う様にしよう。