読了 シェイクスピア『尺には尺を』尺には尺を (白水Uブックス (26))作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志出版社/メーカー: 白水社発売日: 1983/10/01メディア: 新書 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る

ウィーンの公爵ヴィンセンシオは、厳格なアンジェロを代理に立てる。アンジェロは長い間放置されていた法律を復活させ、婚前交渉の罪でクローディオに死刑宣告を下す。やがて命乞いに妹の見習い修道院イザベラがやってくると、人には厳しいアンジェロの評判は危うくなっていく。というあらすじだが、この話実に奥深いものを感じながら読んだ。
法を杓子定規に執行することの無情と、法は法たれとする厳格さ、このジレンマをうまく引き出しているのがこの劇である。法定速度を守ることと、車の流れに自分も合わせること。果たして制限速度をわずかでもオーバーしたときに、笑顔で違反切符を受け取ることができるか。切符を切る警察官は常に法定速度を遵守しているか?人類永遠のテーマである。
このテーマを知ることで題名の意味も合点がいく。
しかし、罪なのはウィーンの公爵ヴィンセンシオである。厳格さを代理人に立てたアンジェロに、任せながら、結局いい役を演じる。こいつこそ問題の元凶なのだが・・・