中村紘子

中村紘子ピアノリサイタル サントリーホール
席は2回のS6列と、全体の響きと奏者の指遣いの見える好位置であった。
曲はベートーヴェン ピアノソナタ17「テンペスト」、18番
ムソルグスキー展覧会の絵
中村紘子ベートーヴェンは力強さと女性らしい愛くるしさの対比がなかなか
面白い演奏であった。テンペストの1楽章の嵐のようなうねる様な冒頭の迫力にも
驚かされたが、2楽章の狂おしいメロディーにはさすがショパン弾きらしいロマンティシズム
を感じた。3楽章はやや早めだが歯切れのよさ。
18番はややマイナーな曲だが、1楽章の出だしで20世紀の作曲家の作曲しそうなメロディ
の後に、古典的な曲想になる辺りがなかなかいいのだが、中村の演奏にもそのあたりの面白さを
楽しんでいるかのような軽やかな切り口でよかった。2楽章の威風堂々としたメロディをさりげなく
奏でた後の3楽章。泣かせるメロディーなのだが、情感豊かに歌い上げる。そして、最終4楽章を
威厳を醸し出しながら緩急織り交ぜての演奏。
2曲ともロマンティックな旋律を女性らしい繊細さで演奏しているという印象の強いベートーヴェン
あったと思う。
休憩後の展覧会の絵は、はじめから苦手なのでどうもいまひとつピンと来ない演奏であった。
後半「キエフの大門」は圧巻であったが、ミスタッチかなと思うような箇所も気になってしまった。
好きな人にはたまらないのだろうが・・・
リサイタルならではの花束の数に会場も和み、アンコールも4曲となった。
ショパンノクターン 第3番 op.9-3 、ラフマニノフ 前奏曲 op.3-2 「モスクワの鐘」
ガーシュウィン 前奏曲 第1番 ショパン 練習曲 変ト長調 op.10-5 「黒鍵」
やはり、中村のショパンはさすが。意外だったのはガーシュインの演奏。中村紘子
ガーシュインのリズムを・・・実に楽しげに弾く姿に新たな面を発見!
なかなか楽しいリサイタルであった♪