マーラー 交響曲6番「悲劇的」

ついに、ハンマーの台を見た。4本の短い足のついた1m四方の木の台の上に、大きな木の板と木槌が乗っていた。それぞれのオーケストラで違うのであろうが・・・
オーケストラの編成もすごい、ステージにいっぱいの演奏者。ホルンが8本、トランペットお6本、トロンボーン4本にチューバ・・・金管軍がものすごい。それにハープ、チェレスタカウベル、どら、グロッケンシュピールと種類もすごい。
1楽章悲壮な行進のメロディから、ぞくっとくるような迫力。やはりオーディオからでは体感できない音の響きを感じつつ聴き入る。大太鼓の木の部分を、竹ひごの束のようなものでたたくなど、意外な演奏方法を目にする。これが、あの音かぁとCDで聞いていた音の正体を確認。演奏時間に興味があったので時計で確認。19分42秒でマーラーの書き込みにある23分を大はばに短縮しているが、決してあわてている風な演奏にならず、力強い演奏であった。第2楽章は11分55秒とほぼマーラーの指示と同じ。そして、大好きな第3楽章では、後半の情念のうねりを思わせる、大好きな部分で不覚にも涙が溢れてきてしまった。すばらしい、実に弦の響きが心を打つ演奏であった。14分58秒。最終楽章では、いよいよハンマーの出番。中間部の最高に盛り上がりを見せる中、袖からでてきたハンマー担当が指揮者にあわせてハンマーを振り下ろす。その時、わかったのだが大太鼓も同時に音を出しているのだ、道理でCDで聴く限りくぐもった音であったわけだ。しかし、そのハンマーの音響たるや、1発ドカンと地鳴りのようななんともいえない印象的な音であった。
後半でも大太鼓と一緒にドカンと鳴らせ、最後は静かに終わる。まさに、3回の打撃に打ちひしがれた英雄が死を目の前に悟りを開くようであった。
全曲を通して、何度かホルンの音がひっくり返り気味なところが気になるものの、ブラスの響きもすばらしく、特に3楽章の美しいテーマと、1楽章の響き渡る不気味な行進曲、4楽章の盛り上がりに見せた弦楽器群に拍手を送りたい。この曲では、変わった演奏方法なども盛りだくさんで、実際に見て聴くのが一番の曲であった。
マーラーに感謝しながら、帰途へついた。