読了

パトリック・モディアノ『さびしい宝石』

さびしい宝石

さびしい宝石

久しぶりにフランス文学だなぁという作品を読んだ。一人のさびしげな過去を持つ娘が、自分を捨てた母親に出くわし後をつける場面から始まり、次第に娘の過去が明らかになっていく展開。映画「アメリ」を見たときの新鮮な衝撃に似た感想を抱きながら、どんどん引き込まれていった。様々な出会いの中で、過去の記憶を呼び戻しながら悶々とする感情の変化を追いながら、読み手は様々な想像を巡らせるつくりになっている。説明がしっかりなされ、物語をひとつひとつ把握しながら読み進む作品に慣れているせいか、自分なりのイメージを追いながら読むのもなかなか「いとおかし」であった。