読了 ロブ・キーン『シグマの誓い』シグマの誓い (Hayakawa Novels)作者: ロブキーン,Rob Kean,酒井武志出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2000/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る

ある冬の朝、カレッジので学生の死体が発見される。体中に言葉を書かれ、アルコール臭を漂わせた
死体であった。学生は友愛会という組織の入会希望者で、全米に広がるこの会の卒業生はみな成功を
おさめるという伝統ある会である。事件の真相究明に、カレッジが学生に調査を命じる。
カレッジを舞台に展開する、友愛会と学生の闘いは、友愛会の謎を明らかにするが・・・
先輩が後輩をしごく。しごきを耐え先輩になると、後輩をしごく・・・なんとも鼻持ちなら無い人間関係。
日本の運動系のクラブでは、よくある上下関係であるが、この本の題材になっているのは米国版のそれ。
読み進めながら、不快感を感じ、その不快感を最後には払拭してくれるものと事件解決に期待をしながら
読み進めた。命令に忠実な者たちを創り上げ、ネットワーク化された卒業生によるビジネスに組み込まれて
いくという背景はなかなか凝っていて、この物語の大きな柱になっている。
その強い絆に結ばれた、大きな組織に立ち向かう学生の勇気と努力への、エールについつい力がこもってしまう。
殺し屋まで登場する物騒な話であるが、最後の最後にうまく話を完結できているのかが不安のまま話が終わる。
読者はきっと読み終わった後にも、頭の中でこの物語の続きを想像することだろう・・・・