読了 斉藤純『銀輪の覇者』

銀輪の覇者 上 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-1)

銀輪の覇者 上 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-1)

銀輪の覇者 下 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-2)

銀輪の覇者 下 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-2)

どうも時代設定が明治、大正、昭和初期というと、それだけで不思議に
ノスタルジックになってしまうのだが、この本も昭和9年。戦争の足音が
聞こえてくるような時代のお話である。
あやしげな日本縦断サイクリングレースだが、賞金狙いに多くの参加者と
なったレースの様子が、まるで実況中継のように伝わってくる。
そして話の合間には、このレースの裏に潜むさまざまな人間模様、政略
などが見え隠れし話を面白くしている。
自転車レースなどは、ツールドフランスの名前程度しか知らなかったが
チームで空気抵抗をなくしながら効率よく走りぬく走法や、引き足の重要性
などいろいろと物知りにもなれる。
上下巻となかなかの読み応えであった。