読了 永井 義男『蘭方医・長崎浩斎 大江戸謎解き帳』

長崎浩斎という江戸で蘭方医学の修行をしている若者を主人公に、いくつかの
事件を医学的な見地から解決をしていくという筋立てである。
著者はさまざまな文献から、江戸時代の文化などを調べているので、読みながら
江戸時代の風物に詳しくなれる。ただ、話の展開の中で無理やり薀蓄が始まってしまう
のも、度重なるとやや鼻についてしまった。インコやオウムが出てきたかと思うと
そもそもインコのほうが歴史が古く・・・と到底登場人物が語りそうもない口調で
やたら詳しい話が出てきてしまい、学者じゃないんだからそうはいわないだろ・・と
思ってしまう。そこは残念ではあったが、話の中身は結構面白く、登場人物の役割も
明確で謎解きとしてはいい出来だと思う。
3つの話で終わってしまっているが、続きがあってもよいのでは。今年61冊目